被扶養者認定に関する基準・要件
被扶養者の収入要件
収入の範囲
税法上では1月から12月までの年間収入をみるのに対し、健康保険では向こう1年間の収入見込みによって判断します。
また、税法上とは収入の範囲や種類も異なり、健康保険では非課税のものも含め次の収入を対象とします。
- 給与収入
- 事業収入(農業、商業、工業、漁業、山林、著述行、自由業等)
…事業収入から必要経費を控除した金額をもって判断します。
※自営業者の場合には、原材料費等を差し引いた残りの額が生計を維持するために投入し得る収入額となります。所得税法上における必要経費とは必ずしも一致するものではなく、必要最小限のものであることに留意する必要があります。例えば、減価償却費、租税公課、損害保険料、借入金利子、修繕費、貸倒金、利子割引料、通信費、接待交際費、福利厚生費、支払手数料等については、原則として認められません。なお、必要経費に関しては個々の事業内容等により個別に判断します。 - 年金収入(公的・私的年金のすべて)
- 利子、配当収入(継続性のある収入)
※毎月または隔月等の他、毎年継続的に得られる性質の収入も含みます。
例:預貯金利子・株式配当金・有価証券利息・FX取引・デイトレード等 - 不動産収入(賃貸等、継続性のある収入)
- 雇用保険法による失業等給付
- 健康保険法及び労働者災害補償保険法による休業補償給付
- その他、継続的に発生する収入
※退職金や譲渡所得など一時的に発生する収入は原則として含めません。
収入基準額
同居の場合
被扶養者の年間収入額(被保険者以外からの援助額を含む)が次の基準内であり、かつ被保険者の収入の1/2未満であること。
年間 | 月額換算 | 日額換算 | |
---|---|---|---|
60歳未満 | 130万円未満 | 108,334円未満 | 3,612円未満 |
60歳以上※ | 180万円未満 | 150,000円未満 | 5,000円未満 |
収入の例 | ・事業収入 ・年金収入 |
・給与収入 | ・雇用保険失業等給付 ・健康保険出産手当金・傷病手当金 |
※概ね厚生年金保険法の障害厚生年金受給要件に該当する程度の障がい者を含む。
別居の場合
別居の場合、上記同居の場合の基準に加えて、被保険者の仕送り額が被扶養者の収入を上回っていることが必要です。被扶養者の生活費の半分以上を被保険者の仕送りによって賄っているなど、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていなければなりません。
なお、仕送り額が、社会通念上、妥当性を欠くと認められる場合はその具体的事情に照らして判断します。
仕送り額を証明する公的な書類(1ヵ月ごとの直近3ヵ月分)の提出が必要です。また、認定後も毎月の仕送りが証明できるようにしておいてください。
被扶養者のその他要件
扶養の事実があること
- 被保険者は被扶養者の生活費のほとんどを主として負担していること。
- 収入の基準を満たしていても、被扶養者が経済的に自立している場合は扶養に入れません。
被保険者に扶養能力があること
- 被保険者には継続的にその家族を養う経済的扶養能力があること。
- ほかの条件を満たしていても、扶養能力がないと判断される場合には扶養に入れません。
他に扶養義務者がいる場合
- 優先される扶養義務者に扶養能力がないこと。
(扶養義務は、被扶養者が父母の場合は父母間が、被扶養者が兄弟姉妹・祖父母の場合は「両親」が、被保険者より優先することを原則とします。) - 被保険者がその被扶養者を扶養せざるを得ない理由があること。
夫婦共働きの場合
夫婦が共同して扶養している場合における被扶養者の認定については、以下の取り扱いとします。
- 被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、年間収入の多い方の被扶養者とすることを原則とする。
- 夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。
※育児休業等を取得し今後の収入が見込めない場合は、収入のある方の被扶養者としてください。
被扶養者の認定日
「健康保険被扶養者(異動)届【追加届用】」(以下「異動届」という)及び必要書類一式が提出され、健康保険組合がこれを受理した日(受付日)が認定日となります。ただし、異動理由となる事実が発生して30日以内に「異動届」が提出され、その事実が書面等で確認できる場合は、その事実が、発生した日に 遡って認定します。
なお、出生によるときは、例外として出生日に遡って認定します。
参考:遡って認定する場合に必要な書類
結婚 | 婚姻日が確認できる書類(市町村発行の受理証明書、戸籍謄本等) |
同居になった | 住所を定めた日が記載された住民票記載事項証明書 |
収入減 | 収入が減ったことを証明できる書類 (雇用契約書のコピー等) |
その他 | 異動理由となる事実が発生した日を確認できる書類 |
なお、被扶養者が任意継続に加入されている場合は、任意継続被保険者の資格を喪失されてからの認定となります。
認定前に受診した場合、医療費は全額自己負担となりますのでご注意ください。
被扶養者資格の確認
被扶養者資格の確認は一定の期日を決めて実施し、再認定を行うことになっています。調査時に必要書類の提出ができないときは資格を取り消される場合もあるため、仕送り証明などの書類はいつでも提出できるように準備していただくことが必要です。
虚偽の申請による罰則
被保険者が扶養の実態がない家族を、虚偽の申請により認定を受けたことが判明した場合は、被扶養者の資格はさかのぼって取り消され、当該期間中に発生した医療費の全額およびその他給付金を過去にさかのぼって返還しなくてはなりません。